そのうち笑い話になるさ

得意分野は土曜の夜、日曜の朝です。

ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ 完成披露上映会 感想

クローズVシネ完成披露上映会、潜入してきました。

※劇場未公開作品のネタバレを含みます。観賞後の閲覧をおすすめします。演出や殺陣、ビルドキャストはいつも通り良かったけれど、全体的にかなり批判寄りなので、注意してくださいね。(追記あり)






簡潔にまとめるとするなら、

序論:クローズVシネの物語、私は苦手だ。
本論:カッコいい、でも設定や筋書き、かなり雑。
結論:小説版仮面ライダービルド、マジで頑張れ。

それでは、いつも通り熱く語らって参ります。





万丈龍我、とにかくカッコ良かったです。

ずっと自分のことでいっぱいいっぱいだった、自分のためだけに戦ってきた万丈は、桐生戦兎から“正義のヒーロー”の在り方を教えられ、戦兎を自分にとっての“正義のヒーロー”だと言いながら、みんなのため、もう誰も悲しませないために戦う、作中最強格のヒーロー、クローズエボルになりました。これがビルド企画当初、万丈が主役だった物語の、真の結末なのでしょう。この主題はかなりよかった。

しかし、それをぶち壊す勢いで、新たな設定や筋書きが猛烈に足を引っ張る。マジでこれ、あの最終回とファイナルステージ(FS)を仕上げた武藤さん大森さんの創り出した作品なのだろうか。言っちゃ悪いけど、蛇足に感じられた。武藤脚本の持ち味である会話劇もどんでん返しも不発、エボルトの煽りは予想の範疇、撮影の都合か、戦兎と万丈の日常は気持ち程度の微々たるもの。うーん。



抱えた不満を、大きく5つにまとめました。

それぞれに思いの丈をぶちまけて参ります。


①キルバスという今作品の敵の設定

新世界編でも仮面ライダーを売らなきゃならない以上は、新たな敵が出てきて平和を脅かすのは、この際、仕方がないとしようじゃないか。めちゃくちゃ嫌だけど。でもさ、その新たな敵を、宿敵エボルトのお兄ちゃんとかいう内輪感半端ないキャラにする必要はありましたか?って話なんですよ。これならまだ、茶髪万丈の中のブラッド族因子が暴走するかもしれない云々という筋書きにしたほうが、ドラマチックだったのではないだろうか。

宇宙と心中したいわりに、やり方が回りくどい宇宙人キルバス。彼があまり脅威に感じられず、それ自体は続編あるあるで特に大きな問題ではありませんが、それによって戦兎の立てた万丈の身体削る作戦*1が、唐突で突飛に感じられてしまうのは大問題です。あのエボルトを復活させてまで、万丈の身体を危険に晒してまで、一海や幻徳や紗羽を危険な目に遭わせてまで、本当にそこまでしなければ倒せなかったのだろうか。別の方法はなかったのだろうか。

そりゃ仕方ないでしょうよ、60分で倒されなくちゃならないんだもの。と言われたらそれまでだけど、キルバスによる被害といえばフリマ会場や中継の報道陣が根こそぎやられたくらいのもの、あとはライダーかエボルトと人気のない場所で兄弟喧嘩、律儀に万丈の回復を待ってくれる。10分ごとにブラックホールで地球を吸ったエボルトに比べると、どうしても見劣りする。ただ、進藤さんの怪演*2により、強キャラと錯覚させるのはさすが。




②ゲストヒロインが全然可愛くない

可愛い可愛くないは個人の趣味だという前提で話すね。容姿の話じゃない。言動も性格もマジで可愛くない。暴力系ツンデレトロフィー美女という、なんかもう悲しくなる薄っぺらさ。夏映画の直後に熱い手のひら返しをする民衆はビルド本編での記憶にも残るところなのですが、にしたってさぁ!!!!!

わかるよ、わかるんだよ、エボルト万丈にぶん殴られて気が立ってたのはわかるんだ、でも中盤にかなりの言いがかりで万丈をボコボコにしておいて、命を救ってもらったら、熱い手のひら返しでチュウしちゃう。幻さんによる、お前たちまさか「ベストマッチ?」ってTシャツ煽りに「案外そうかもね!」なんて返しちゃう。日曜日だからって怪しいメカを小学生に売りつけてくれるなよ、先生。記憶を残すなら残すで、なんで元気になった子供たちと由衣さんとのやり取りを省いたの、彼女は本当に子供たち思いな先生だった?

なんというか描写が雑で急すぎる、いろいろ足りなさすぎるんじゃないかしら。そもそも設定が良くなくて、子供たちを守ろうとしたという建て前のためだけに与えられたような教師という職業と、論理的に考えれば恨むべきはファウストかエボルトなのに仮面ライダーを恨み続けてしまう思考回路と、初期万丈のような暴力的態度からの抱きつきチュウして蜘蛛型ペットロボを恋のキューピッドとか言っちゃう恋愛主義との、ワーストマッチが、あんまりすぎる!*3

しかも、永尾さんは剣星さんのお気に入りで、高田さんの扱いは雑だってネタを話された後だから、余計にさぁ……。せめて香澄さんみたいにしっとりした芯の強い女性ならよかったのに、台本通り、そのまま強気で逆恨みもいいところで演じられていたため、終盤の愛嬌出すところが全くもって魅力的に感じられない。万丈のほうが拒絶はしないけれど受け入れてもいないという態度なので、一方的なラブの押しつけに見えちゃって、そりゃ腹も立つ(あ、言っちゃった。)同じハサミでも才賀涼香は妖艶で悪役として筋が通っていて良かったのに……。

これは個人的な考えだけれど、本編序盤~夏映画にかけて、香澄さんという元カノ*4の想いに応えて強くなった万丈龍我というキャラクターに、新たな即席ヒロインというのが、そもそも食い合わせ最悪だった気はします。とりあえずご褒美にべっぴんさん与えときゃうれしがるキャラクターかよ万丈龍我。そんなんじゃないだろ。紅音也じゃないんだぞ。ていうか紅音也だって、こんなお飾りみたいなヒロイン喜ばんぞ。たぶん。


③エボルトが生き残り、宇宙へ旅立つ

これ、これです。これなんです!!!
これが自分の中で一番、あかんかった!!!
しかも万丈の身体がパンクするかもしれないという危険を承知の上でエボルトを復活させる桐生戦兎……ってなんじゃそらああああ、この一年はなんだったんだ!!!!!!?

それでも、それでもあの天っ才物理学者がそう簡単にエボルトを復活させるはずがない、何か、封じ込めたり従わせたりする秘策があるに違いない……と思っていたら、まさかの、無策!!!!!!!

笑いどころか、ツッコミ待ちか!!!?
平和ボケしたか新世界の桐生戦兎?????

(一応フォローすると、)


完全に、エボルトを出して大活躍させたいがために作劇したよね、この物語。実質、エボルVシネだもんね。

桐生戦兎は、エボルトの遺伝子が残る可能性を知りながらも私情を優先して万丈を救ったのだから、新世界編では、その危険要素エボルトに、万丈が何らかの終止符を打つものだ、打つべきだと思っていたのに……復活させて逃がすって何事。遺伝子抜けて万丈が人間になると変身できなくなるからマズイってか?、んなわけあるか、ネビュラガス浴びたことがあるわけがない“ただの人間”なはずの新世界一海や幻徳がスクラッシュドライバー使いこなしてたじゃん。別にエボルト遺伝子持ちじゃなくても、ただの人間でも、謎設定で変身できてるじゃん!!!

エボルトさん、かなり悪どいこと言いますし、案の定、万丈の両親を殺めてましたし、兄ちゃんに勝てないからって万丈を煽りハザードレベルを上げるおやっさんとしての活躍で、なんというかもう、おまえたちほんとそれでいいのか戦兎と万丈。これで新世界の続編創れるねよかったね、って全然よくないわ、ダメなやつ、それ絶対やっちゃいけなかったやつだから!!! 好きだけど、好きだけれどもエボルトは、もうエボルトは、たくさんだ!!!!! 大好きだからこそ、エボルトは、ぶっ倒されてほしかった!!!!!!!*5

これもうマジで、A世界と融合させられたB世界にとってしてみたら、エボルト一族を持ち込んだ戦兎と万丈がパンドラボックス以上の災厄以外の何者でもなくなっちゃうし、やっぱり、万丈龍我は時空の狭間で消えておくのが最適解だった、と言われてもおかしくなくなっちゃうね。戦兎の判断は間違っていたことになる。ツラいな……。

まさかとは思うけれど、制作陣のお考えとしては、万丈の身体からエボルトが離れて、地球から居なくなったから、万丈もエボルトもハッピーエンド!!!!!!のつもりなのだろうか。マジかよ、そんなのってないよ、釈然としない!!!!!! てか消え損だったじゃないかビルド本編の功労者、ベルナージュ……!!!!!!

でも、水も滴るブラッドスタークの大活躍が観られたのは普通にうれしかった(ちょろい!)

「なぜ俺が人間なんかに」と倒されるキルバスに「人間だから負けたんだ」って言うのは、お前どの面下げて人間語ってんだと笑、そこだけ揺るぎないいつものエボルトさんでした。個人的には石動惣一こと前川さんの、人間に興味を持った時点で負けていたエボルト解釈が大好きだったので、石動惣一成分の抜けたエボルトは片手落ちというか、何かもの足りない気はしましたね。


④不可解な言動をとる新世界桐生戦兎

詳細はリンク参照。


おもちゃ箱に無造作に投げ込まれているフルボトルやスクラッシュドライバー、ジーニアスボトルなどなどはまだいいとして(よくない)、蜘蛛型ペットロボを「クローズドラゴンより高性能な“変身アイテム”なんだぞ」と言う戦兎に、万丈「だったら武器として売ればいいじゃねーか」対して戦兎「この世界に仮面ライダーは必要ない」でも新たな変身アイテム創ってるのかーい矛盾してるでしょうが!

今回の戦兎くんは、もう、どうしても戦いたくない人なのですよね。新世界に仮面ライダーは必要ない、と思っていて、キルバスに襲われて咄嗟にビルドドライバーを装着しようとはしたけれど、それを奪われて以降は裏方、開発役になる。万丈の身体からエボルトの復元を提案し、たとえ万丈の身体がパンクする可能性があっても実験を行う。クローズがピンチでも、グリスとローグがピンチでも、戦場に駆けつけない。(メタ的に言えば、本編の主役だから駆けつけられない。)

好意的に解釈すれば、キルバスの毒の影響が残っていて体調が万全ではなく……、とも言えそうだけどそんな描写なかったし、ジーニアスボトルで自己治癒しちゃったし。なにか、万丈も一海も幻徳もその身が危ないというときに戦兎がそれでも戦えない、強い動機付けが欲しかったのかもなあ。私がその描写を見落としただけならいいのだけれど。

最後の最後、美空ちゃんは戦兎に笑いかけます。
「“やっぱり”この世界にも、仮面ライダーは必要だね」

しかしそれって、新世界の創造主たる桐生戦兎にとっては、ずいぶん残酷な知らせだと思うなぁ。美空ちゃんは「旧世界のライダーシステムを共に創った戦兎のヒーロー性を肯定」してあげたかったのかもしれないけれど、悪意なく「もう戦いたくない(し、マジで戦場に行かなかった)新世界の戦兎に、仮面ライダーという業を背負わせた」ことになるんじゃないのかなあ、だから、あのラスト、もやもやしちゃって好きじゃなかったよ。あんなに大変な思いをして創り上げた新世界は、仮面ライダーの要らない、愛と平和に満ちた、侵略のない世界であってほしいもの。万丈のピンチに自分が駆けつけられない新世界の桐生戦兎、それが彼の望みであれば、もう、戦ってほしくないんです。


⑤旧世界の記憶がヒロインに残留する

そんなの、ヒロインたちへの忖度じゃないか?

確かに不満はあったよ、それでもね、それでも最後の最後で、パンドラボックスが消えたために、全員の記憶が再び失われて、切ないけれど、戦兎と万丈がどうでもいいやり取りしてくれたら全部まるごと救われたわけですよ、本編最終回や平ジェネFoみたいに。しないもん。最後。新ヒロインが一方的に、万丈にいちゃつきまわって終わるもん。少なくとも、美空ちゃんと新ヒロインの記憶は残ったままだったもん……カズミン幻さんの記憶も残ってたらまた客演でグリスとローグ呼べるねよかったね。って、よくないわ!、あの人たち今は農家と政治家だから!、そっとしておいてあげてくれ!!!

万丈の側には新ヒロインがいるから、
戦兎の側には美空ちゃんがいるから、
セーフ!!!!!

という、即席感溢れるラストは、

「ほらー、みんなあまりにもふたりぼっちを揶揄するもんだから、毎度おなじみ戦兎と万丈エンドをお出しできなかったでしょうが!!!」*6

みたいな、切なさを感じてしまうのです。

(むしろ戦兎が、万丈とデートしてこいよって、押しかけてきた由衣さんを(実験の邪魔になりそうだから)体よく追い払ったんじゃないかって気がしてきた。それが一番ビルドっぽい気がする。)

復活したパンドラボックスの影響で記憶が戻ったというような説明だったはずだけど、箱登場前に由衣さんの記憶戻ってたよね。最終的にキルバスやパンドラボックスは消えたのにどうして記憶が残ってしまうんだ。いや、解釈の余地は残されていて、あの後、徐々にみんなの記憶は失われていったのかもしれないけれど。だったらいいなと思ってる。あの世界に戦兎と万丈しか残らないのは、ふたつの世界を消して、万丈を助けてしまった、桐生戦兎の罪に対する罰なのだと思うから。じゃなきゃ、なんのために犠牲を払ってまで創った新世界だ。




万丈龍我の活躍としては、とてもカッコよくて、エボルトとのやり取りがほとんどぴょん吉とひろしだったところもコミカルで楽しかったですね。龍我とエボ龍我との二重人格漫才を始める赤楚くん、めっちゃ頑張っていたなと思います。真夏の熊谷で演じるの大変そうだったけど、楽しそうだった。最初の5分くらいの日常編と、ボトル完成直後の戦兎の髪ぴょこはいつものビルドだったから好きだ。主題歌が最っ高にカッコいい。素晴らしい。

それから、新世界の秘密基地に、黒髪万丈龍我のポスターと、佐藤太郎fromツナ義ーズのポスターが貼ってあって、尚且つ、落書きされてあるのは、おまえたち見慣れた自分らの顔だろうに、いったい何を思って……って感じで笑、少なくとも、黒髪万丈や佐藤太郎を他人事にせず気にかけているようで、いろいろな想像ができて楽しいですね。「黒とかダセェ!」万丈お前、自分に落書きしたのか?笑

万丈が主役なせいか、前説収録がめっちゃ気だるげでやる気無くってすげぇ桐生戦兎らしかった。戦兎から万丈へ仕掛けた、絶対にアドリブだろうと思われるやり取りがある。今回は開幕イチャイチャすごかったな「“また”追い出されるんだから!」って何回か賃貸物件を追い出されたのか戦兎と万丈、その話を詳しく聴きたい。万丈龍我にとって“相棒”は桐生戦兎だけだった(エボルトの相棒呼びに反論)し、“正義のヒーロー”は桐生戦兎だけだった。そこはもう、揺るがないと思います。ぶれない!

紅音也のごとく、万丈龍我のおしりぺんぺんする猿渡一海が観られるのは、後にも先にもクローズVシネだけ!!!

とまあ、よかったところを差し引いても、60分程しか時間がないからと甘く見ても、余りある苦手さでダメだった、ごめんね、苦手だったよ今回。めっちゃ爆発させるクローズエボル、変身の間抜けさは一切無いはずなのに、クローズビルドほど熱くカッコよくは思えなかったよ。ブラックホールパンチは、ちょっとグッときたけれど。見た目のエボル主張が思ったより強い……あー、結局、全部エボルトの思惑通り、事が運んだのが本当に悔しい。万丈がエボルトを飼い慣らしたわけではなく、たまたま利害関係が一致したエボルトに利用されただけだよね?



「仲間の記憶が戻ったまま残る」ことは、どう考えてみても「最終回と平成ジェネレーションズFOREVERの余韻」をぶち壊し、

「エボルトを逃がした」ことは、どう考えてみても「ファイナルステージの感動」をぶち壊し、

「ベストマッチという言葉を単なる男女の恋仲に当てはめる」ことは、どう考えてみても「戦兎と万丈の一年間ぶんのエモ」をぶち壊しているように感じます。

特にこの“ベストマッチ”って言葉だけは茶化しちゃいけなかったやつじゃん。それ自分たちで茶化したら、戦兎と万丈の“ベストマッチ”って結局、男女の恋仲に近い感情だったの?、それってつまりそういうこと?って言われても、仕方なくなっちゃうじゃん。 いいわけそれで???


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ひょえー、仮面ライダービルドの大好きだったところがことごとく破壊されていく……すごい、なんということだ、さすがクローズエボル。

誰にも知られない、ビターな結末が胸を打つ、だからこそのビルドだったのに。得体の知れなさが魅力だったのに、兄ちゃんに勝てないなんてやたら俗っぽい設定をつけられたエボルトもそうだし、香澄さんの香の字も出せない万丈だってそうだ。つまるところ、ビルド本編の出来事がすべてひっくり返されて無駄になったかのような描写と受け取れてしまって、悲しかったのかもしれないな。私は。



そのほか、細かいところで気になるのは、

・なぜか秘密基地に置いてある満タンのジーニアスボトル(キルバスの毒を無効化できるよ!)
・なぜか当たり前のように秘密基地に飾ってある白パネル(ここからキルバスが出てくるよ!)
・なぜか万丈がビルドドライバーとクローズドラゴンを持ち歩いている(……グレートクローズドラゴンって結局なんだったの?)
・万丈よりダンサー柿崎の身体のほうがよっぽどマッスルギャラクシーなのは、突っ込んだら負ける。
・絶対電話で律儀に呼び出すビルド悪役シリーズに引き続き、今回は情報伝達の手段が敵も味方も全部テレビ。幻さんまさかのテロップで仮面ライダー呼び出し。観てなかったらどうすんの……。
・全国生中継で殺戮してしまったダンサー柿崎と、そのダンサー柿崎に名前を呼ばれご指名されてしまった黒髪の万丈龍我は一体どうなったのか。
・人体実験を受けた=ネビュラガス入れられた人が記憶戻る設定(三羽ガラスの記憶は復活した)なら、香澄、葛城巧、葛城父母、北都首相のようなスマッシュ経験者、黒髪の万丈龍我……等々の記憶はどうなったのか。特に香澄さん。ロストボトルの生贄云々と説明づけたものの、火傷跡が戻った新ヒロインや、なぜかハザードレベルが高い一海と幻徳のように体質まで旧世界と同様になるのなら、下手したら、香澄さんが弱って死ぬ!!!
・一海が「記憶を無くした新世界でもみーたんに一目惚れしたからこれはやはり運命!」のようなことを言っていたが、融合させられた世界の人々の記憶は、この10年間で積み上げたはずの記憶はどうなったんだろう。単なる上書き保存ではないよね?
・新ヒロインを乗っけた車を爆走させて駆けつける紗羽さん、なぜか万丈たちの居場所がわかる。そこまで新ヒロインのお膳立てしてやる必要性とは。堅気の者ではないドライビングテクニックがまた観られたのはうれしかったよ。万丈をヒールで蹴ってぼこぼこにするくだりはカットされて無念。
・内海と石動惣一の記憶は戻らなかった(コメディに全振りした某下町工場のような内海のインサート)ことから、人体実験を受けた者のみ記憶が戻ったと判明する流れ。内海の扱いは、きっとあれが正しかったのだろうな。幸せそうな新世界内海に、一緒に喜んでくれる工場の仲間が居てくれて良かった。ヒゲポテト曰く「そっとしておいてやれ」

内海と紗羽の難チルコンビはわりと待遇が良かった気がします。マッドローグとして登場できなかったのは残念かもしれませんが、共闘ならFSで見せてもらったから。新世界の回想が笑顔だったことで“本来、新世界の美空ちゃん紗羽さんカズミン幻さんその他大勢も、普通のありふれた幸せを得ていたはずなのだよな”と、旧世界の記憶が戻らないほうが幸せなのではないか?という、Vシネの設定を根本から揺るがす問題提起してくる辺りが後味悪くてさすがです。忘れる(そもそも新世界の人物たちは旧世界を経験してないのだから、この表現も変だけど、)ってことは、ちゃんと救済になったのではないかと思う。内海みたいに。

ビルドお得意のがばがば新設定てんこ盛りだよ、どう解釈すればいいんだ???
矛盾もガバも気にしない主義な私ですら、あまりの多さに脳内処理が追いつかない???

そんな気になるところが山積みの状態で、ノルマ的に、万丈が戦兎の回想ちらつかせながら「桐生戦兎は俺のヒーローだ」っていつもの話されても、そう簡単には燃えられないわ……!!!!!

マジで平常運転し続ける猿渡一海が一番の清涼剤だったからね、カズミンみーたんのドルオタコントが最後の最後まで遂行されたの最高だったからね。それはそうと武田航平さんお誕生日おめでとうございました。武田航平ナイトのこぼれ話を楽しみにしています。あと、今回、高田夏帆ちゃんには救いがあったな。よかったね。

平ジェネFoにおける戦兎と万丈は大成功だったと思うし、消費者のニーズとしたら、戦兎と万丈のふたりぼっちな日常編だったんじゃないのかなあ(じゃなきゃ、ビルド&クローズのアクリルキーホルダーだけが光の速さで売り切れるなんてこと、起こらないと思うのよね。)それを、わざわざ揺さぶって(ふたりの関係性は全然揺るがないとわかってはいても、)ぐらつかせた雰囲気で終えたのはどうなのか。

いいところも当然あるよ、でも、それを上回るツラさが、精神をぼこぼこにしてくるんだ。いつものVシネにありがちな制約が、ことごとくビルド新世界と相性が悪すぎた。制作陣、たぶんそこまで深く考えて創っていない。そんな気がします。円盤は来るから、落ち着いた気持ちで観て、感想が変わるかもしれません。マジで反省会CD楽しみにしてるから、ほんと反省してくれと思ってるから。



私は、戦兎と万丈ベストマッチふたりぼっち説を強く推すファンなので、Vシネクストクローズはあまり好みではありませんでした。最後にもう一度だけ言うぞ。大事なことだからよく覚えておこう。万丈龍我の相棒は、桐生戦兎ただ一人(ビルド本編34話「離れ離れのベストマッチ」参照)だし、万丈龍我の認めるベストマッチは、桐生戦兎(FS参照)なんだ。

撮影時期が悪かった(視聴者の反応を見てからVシネを創り始められなかった)のは、理由のひとつとして絶対あると思うのよね。役者さんたちの次の仕事の準備もあるから本編放映期間と同時進行で進めるしかなかったし、登場人物たちには、どうせなら本編と異なる救いを与えたかったのかもしれないけれど、裏目に出た感じがする。

だからこそ、本編最終回を受けて、そのエモさをそっくりそのままお出しした平成ジェネレーションズFOREVERの戦兎と万丈は、最高にベストマッチだった。桐生戦兎が後輩へ語る言葉に、すごく説得力があった。やっぱり時系列、平ジェネFoが後のほうがいいんじゃないか。あるいは、(by桐生戦兎)説を採用して、クローズ編のすべては戦兎の見た夢の話だったことにする、とか。

はちゃめちゃポジティブに解釈すれば、エボルト生存=仮面ライダービルドの戦いは新世界でもまだまだ続く!(マジで旧世界での出来事がほとんど茶番になるけれど)ということで、ジーニアスボトルが当たり前のように復活していたということは、クローズビルド缶が当たり前のように復活する可能性だってもちろんあるわけで、きっと、ビルド名物の猛烈な後出しジャンケンでVシネの矛盾もどうにかやっつけてくれるんでしょう。活字じゃなくて映像でやってほしかったけれども。

おっしゃあ、小説版仮面ライダービルド、どこの武藤さんが書くのかはわからないけれど、ほんとマジで頑張ってくれよな!!!!!!



ちなみに舞台挨拶そのものはとても良かったです、とっても!!!
ゲストをお迎えするホストファミリーのようなビルドキャスト陣!!!


27日追記:少し見方が変わりました。
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8月27日追記:オーディオコメンタリーは悪戦兎が堪能できてマジで最高なので、どうせなら配信ではなく円盤をおすすめします。赤楚犬飼武田&監督で石投げるエボルトにツッコミ入れつつ観るとこれがめちゃくちゃ面白い。岡田さんのスターク演技プランが、とにかく素晴らしいです。

*1:そもそも、その作戦自体、ドラゴンエボルボトルを託したエボルトの指示みたいなものなので、もはや手に負えねえ……新世界まで来ても全部エボルトの手のひらの上かよ。いいのか戦兎と万丈、そんな結末で……。

*2:登場直後、戦兎に擬態したキルバス、戦兎の姿でくねくね動くんだけど犬飼氏があまりにもノリノリで過剰な演技をするため、なんというか、ものすごく、エロかった。で、ダンサーに擬態したら更にエロスの塊だった。弟といい、なんであの宇宙兄弟は無駄にセクシーなんだ?

*3:個人的には「謝らない、反省しない、自分の非を認めないキャラクター」が、創作でもリアルでも苦手です。だから、自分の行動を棚上げポイで態度を変えた由衣さんがだいぶ苦手だし、自分の行動をきちんと反省して謝罪したビルド序盤の万丈がとても好きなのだ。名もなき戦争被害者代表かつ手のひら返しでヒーローにすがったり恨んだりする民衆代表かつ戦兎に代わるベストマッチ候補的な、無理難題を与えられた演者さんには同情いたします。ヘタしたらキルバスよりも憎まれ役みたいになってしまって、気の毒になあ……。

*4:赤楚くんの表現による。

*5:FSでは、そうやって肉塊バラバラになるのを防ぐために、クローズビルドがエボルトの遺伝子をスマッシュに創り変えて視覚化、残さず破壊をしたはずだったのに……そんな燃える設定も、自ら台無しにしていくスタイル!

*6:あんなに丁寧に、犬飼赤楚が、変な風に見えないよう気を遣って演じられていたのになあ。おそらく制作側の時系列としては、本編最終回撮影→Vシネ台本と撮影、FS台本→最終回の放映(視聴者の反応)→FS開催(観客の反応)→平ジェネFo台本と撮影→平ジェネFo公開(観客の反応)→Vシネ公開、という流れなので、ふたりぼっちエンドが好評でも、エボルト討伐エンドが好評でも、今さらVシネを修正できなかったのではないだろうか。すーごい待たされて最後の最後がこれなのは、後味が悪いなあ。Vシネ作成するたびに、主人公が変身しないのも、新ヒロインを出さなければならないのも、結局は大人の事情としか思えないよね。