戸惑いの惑星 雑感
行ってきました……。
行ってきました、よ。
これでいよいよ、私の「東京サンダンス」観られなかった無念というある種の呪いが、昇華されたに違いありません。夢を具現化してしまったトニセン、ありがとう。G2さん、本当にありがとう。また、今回は「芝浦ブラウザー」以来の同行者募集をさせていただき、多くの方々にお世話になりました。今でもV6で6時間延々熱く語るなんて全然余裕でできる、と気づくことができました。ロケ地巡りもさせていただいて、最高に楽しかった。ああいう、V6を語り合うだけの会も、今後ともぜひ出席したいなあ……。
これから観劇の方は、是非とも楽しんでくださいね!
ただのアイドル舞台、って感じがしなくて、きっとあれは少年隊の魅せていた世界の延長線上にあって、なんだろう、もう、全然言葉が見つからない。SHOWって感じ。トニセンは偉大だ。コマ送りで見ていちいちため息つきたい。円盤化してほしい。頼む。#戸惑いの惑星 #TTT
— じきどう (@jikido_t) 2017年1月27日
とにかくG2さんは素晴らしい仕事をしてくださったと思うし、本当に楽しかったろうな、と、本当にトニセンが好きな人たちが楽しく作ったボーナスステージみたいな舞台だなって思った。楽しそうなのが一番。#戸惑いの惑星 #TTT
— じきどう (@jikido_t) 2017年1月27日
追記から、この物語の覚え書きです。
ネタバレ全開、パフォーマンス(歌や演奏)ではなく、とにかく物語重視の考察。何か思い出したらまた、どこどこ追記する予定です。しかし、筋書きを説明するのが本当に難しい作品です。一度しか観られておりませんし、台詞を発した人や話の順序など記憶違いもあると思いますが、そこはまぁなんとなくニュアンスで、許して!
想像した以上に「宇宙」で、想像した以上に「演劇」で、想像した以上に「コンサート」で、想像した以上に「SF(少し、不思議)」だった。総じて、好みのツボにどんぴしゃだった。観劇中、胸を締め付けられる想いのあまり、ずっとずっと、心臓が、痛かった。トニセンでしか成り立たない、あの三人の関係性があってこその、愛しくも尊い物語だったんだ。細部まで、とてもよく考えられてありました。単にもう、ほんと、しあわせ。
ステージ上にはパステルカラーの箱(割れ物注意や天地無用のマークがついている)が積まれている。椅子が端に置かれている。下手にバーカウンターのようなもの、下手は螺旋階段から2階へ。2階下手側にピアノやチェロ等の楽器。
客電切らずに、ベルを鳴らす人が現れ、去っていく。
静かに登場する三人。注意事項の前説などやりつつ、椅子を並べ、普通にトークする。
鍵盤ハーモニカの女性から、星座盤を模した?封筒に入った手紙を渡される。手紙にいい思い出が無い(伏線)という坂本長野に促され、井ノ原が開封。そこには不思議な質問。「あなたが戸惑うことは?」三人はトークを広げていく(ネクジェネを聞き慣れていると、会話が妙に芝居がかっているのでやや違和感!笑)
・長野の宇宙の話
(ビッグバン、ひとりひとりに通じる惑星がある)
・坂本の手紙の話
・井ノ原の自分が自分かわからなくなる話
(ディズニーランドで唯一飲酒が可能な会員制レストラン「クラブ33」と、そのトイレの扉の奥の真っ暗な空間、水面と星空、たくさんいるミッキー、お言葉ですがあなたは一人しかいないってどうして言いきれるんですか?的な)
「だってイノッチは、オレ一人でしょ!」
井ノ原の話から、だんだんおかしくなる世界観。二人は井ノ原が「イノッチ」ではないと言う。坂本「だってオレがイノッチだもん」祈るところから祈るっちでイノッチ。長野「だってオレがイノッチだもん」猪突猛進でイノシシみたいだからイノッチ。井ノ原「それ無理あるでしょ!、だいたい、全然猪突猛進じゃないし!、じゃあオレ、なんて呼ばれてたっけ?」二人「ハセッチ」井ノ原「ハセッチ?」
長谷川だから、ハセッチ。
倒れこむ長谷川、それを抱きかかえる三池と由利。
長谷川は、自分が誰かわからなくなる病気にかかっている。
井ノ原ではなく、長谷川(小説家志望の手紙代筆業)
長野ではなく、由利(超能力を研究する学者)
坂本ではなく、三池(画家、後に塗装業)
三人は同じ高校の卒業生だが学年はバラバラ、小さな学校だったから顔と名前が一致する程度の面識。謎のメールによって、バー?に集められ、箱の中から楽器と楽譜を見つける(井ノ原:×トランペット○フリューゲルホルン、長野:ホルン、坂本:トロンボーン)吹いてみると、それは、三人の知っている曲だった。この曲は何を意味するのか、誰が三人を呼んだのか、この世界は何なのか、そして、「本当の自分」とは。
三池(坂本昌行)
売れない画家。画家として芽が伸びず惑っている。路上で似顔絵を「白黒1000円、色つき3000円」で売って生活しているが、本当は、描かされるのではなく自分が描きたいものを描きたい。あるとき、描いた絵に未来を写す力があるのではないかと噂がたち、由利から研究への協力を持ちかけられるが、そんなものはないと断る。一目惚れで恋に落ちた“彼女”と相思相愛になり、“彼女”の似顔絵を描くも、それを見た“彼女”が手紙を残して姿を消してしまい、絶望の後、塗装業を始める。
由利(長野博)
大学で超能力を研究する学者。超能力研究を続けるか否か、惑っている。きっかけは、母親がスプーンを曲げてみせたこと(後に、それはトリックだったと手紙で知らされる。)しっかり者な妹がいる。現象を数式で説明する、理論主義者。三池や長谷川と再会し、三池の能力を調べようとする中で、ある事情(妹の死)から大学を辞めようとする。この世界の真実に真っ先に気がつき、抜け出す方法を考えるが……。
長谷川(井ノ原快彦)
小説家志望。小説家になろうと127回(だっけ?)編集者に持ち込むも断られ、惑っている。代わりに持ちかけられた「手紙代筆業」の仕事をするうちに、他人が自分を通り抜けていく感覚が強まり、自分が誰かわからなくなる病気にかかっている。昔、片想いをしていた同級生から手紙代筆の依頼を持ち込まれ、書き上げるが……。
宛名の無い手紙は、思いもよらない方法で、きっと相手に届く。
バーの一室に閉じ込められた三池と由利。三池と由利の身に起きた全ての出来事は、長谷川が記した小説(まよいのやまいのよまいごと(迷いの病の世迷言))の中の出来事だった。
長谷川は、自分が何者か忘れてしまう前に自分と三池と由利にメールを送り、あのバーに呼び寄せた。唯一の出入口であるはずのトイレの扉は、なぜか宇宙と繋がっている。ユングの説を引合いに、集合的無意識があれば、きっとこの世界から抜け出せる、と由利。二人は再び扉を開ける。長谷川が入ってきた。三池と由利がドアの向こうに行くのと、長谷川がドアから入ってくるのは、原理的には同じことだという由利。
そこは長谷川の病室だった。自ら申し出て、長谷川の似顔絵を描く三池。由利はこれまでの絵と異なることを指摘するが、三池はそれ以上何も言うな、と制する。完成した似顔絵を受け取った長谷川は、その絵を見て微笑んだ。「僕だね」
エンディングは明るく、ダリアのアレンジ。
・「トニセン×宇宙」の妙味
私は事あるごとに、カミセンは宇宙が似合う、「カミセンは宇宙」説を提唱して参りましたが、違った。「トニセンも宇宙」だった。総じて、「V6は宇宙」だった。宇宙、似合いすぎ、心くすぐりすぎ問題。*1
・面識の薄い三人が共通して知っていた“曲”の正体は、何か?
由利の妹で、長谷川の同級生かつ一目惚れの相手でもあった“彼女”が、憧れた先輩である三池への想いを込めて作った曲。文化祭で吹奏楽部が演奏した。長谷川はその譜面を取り寄せたため、知っていた。
・三人を呼んだメールの送り主は、誰か?
長谷川。なお、本人はそのことを覚えていない。
・三池の“能力”は、何か?
未来を写す力、と言われていたが、本当は、死期を予知する力、でもあった?
・謎の“彼女”は、誰か?
三池(坂本さん)に憧れる後輩、であり、
由利(長野さん)のしっかり者な妹、であり、
長谷川(イノッチ)が一目惚れした同級生、であり、
あの曲の作者でもある彼女、は、いったい誰だったのか。
三池が似顔絵を描いた彼女=由利の妹=長谷川の同級生で、三池への手紙の依頼人=「Change Your Destiny」の作曲者=死んだ
というところまでは物語上の確定事項として、彼女は何者だったのだろう。
彼女、は「自分のことをすべて思い出してしまった」し、「この世界には居るべきものではない」と手紙で語っていたが、それを書いたのは長谷川ですよね。三池を傷つけないために嘘をついた、というようなことがわかります。もちろん、普通に「生身の女性」だったのかもしれない(三池が彼女との出来事を回想するくだりで坂本さんばっちり泣いていて、役者としてスゲェ……!って思った、)けれど、個人的には、三人にとって共通した大事な人や物としての「概念」だったのではないか、という説を押したいんですよね。結局みんな“彼女”に惑わされていたのって、単なる「生身の女性」なだけだったらなんとなくがっかりなの。自分的には。
そもそも、三池も由利も実在するかわからないし、長谷川すら、この世界とはまた別の「惑星」の住人なのかもしれない。単なる、ありがちな悲恋もので終わらせちゃもったいない気がするよ。
・ラストシーンと長谷川の自我
自分が何者かわからなくなりかけている長谷川が、最後、自分の似顔絵を見て「僕だね」と“自分を意識して”笑ったことは、彼らにとって希望ある未来の象徴かもしれません。それまで似顔絵(誰かに言われて描くこと)を嫌っていた三池が、長谷川の似顔絵を描きたいと言い出し(自分が心から表現したいものを表現できるようになった)て、その絵を途中で見た由利は、それまでの三池の画風と異なることを指摘していたので、三池はもう、死期を予知する絵は描かない(描けない)のかも。彼にとっての呪いが解けた瞬間だったのかもしれないな。
長谷川の小説の一部が井ノ原快彦の夢に現れたのだとしたら、えっ、じゃあどこまでが現実でどこからが虚構なの?って感じだし、導入部の演出も、その現実から地続きの虚構っぽさを意識したつくりだったので本当に好きでしたねぇ……私、役者さんが役者さん同士、本人役で舞台に上がるのが無茶苦茶好きなんですよね。やーもう、好きだなあ。ほんと好き。こうして、物語として抜群の安定感があって(SFの、さもありなんに忠実で)素晴らしかったことを前提に、
強いてね、強いて言うのなら、
私は、導入部を「20th Centuryの井ノ原快彦」がやっていたのだとしたら、エピローグというか、長谷川ハセッチには、井ノ原快彦として戻ってきてもらいたかったのね。ちょっと何言ってるかわかんないかもしれないけど。うん、つまりね、病室ベッドの長谷川に、井ノ原快彦として戻ってきてもらえたらなって、「長野くん」と「坂本くん」を思い出してもらいたかったなって。ひょっとしたら最後の長谷川の「僕だね」ってのは、あれはすでにイノッチだったのかもしれないんだけど、ぼやっとしていたから。現実のイノッチに蹴りはついていないのかもしれなくて、だったらイヤだよねぇ笑。
自分が何か大事なことを見逃した可能性もありますし、何かの機会に見返したらラストシーンも全然印象が変わるかもしれません。
(と、私は思ったのだけれど他にも「長谷川は戻りきっておらず、三人でこれからの運命を変えていく」エンドの解釈を教えていただいて、ああ~っその手があったか!と思ったし、本当に解釈は人の数、星の数ほどあるいい作品だなって思った。トニセン×G2の偉大さよ……!)
・セットリストとその個人的解釈
「Change Your Destiny」新曲
「不惑」土砂降り、車の中で~の圧倒的な破壊力、苦しくて最高!
「オレじゃなきゃ、キミじゃなきゃ」オレキミダークサイド
「Sing!」重い!
「ちぎれた翼」今回の最優秀最強曲
「days-tears of the world-」次点で優秀曲
「Change Your Destiny」リプライズ・バラードヴァージョン
「Dahlia」名曲は何年経っても名曲だった
名曲の解釈も「こんな捉え方があったんだ!」みたいな、使いどころが上手すぎる。daysって確かに星を見上げて泣く曲だものなあ。特にラストのダリアは「ガール→フレンド」に変えるだけで全然印象違うし、なにしろ本当に「やばい」と思ったのは、坂本長野がこの世界の真実に気がつきはじめて、井ノ原が鍵だとわかって、病室着の井ノ原が「ちぎれた翼」で堕ちてくるところですね。もうねー、綺麗だったし、とにかく好きだったし、天空の罪人感あったし(そもそもこの世界を作ったのは長谷川の小説だった、)やられたなぁ、って思いました。あれは参った。なんてもん作ってくれたんだG2さん!
解釈がいろいろできるのが本当に楽しいですTTT。「ちぎれた翼」ひとつ取っても、あれは「三池と彼女の曲」と捉える人も居れば、「長谷川と彼女の曲」と捉える人も、「長谷川と三池由利の曲」と捉える人も居るわけで。無論、自分は後者のひとだったのだけど。
パンフ(これがまたやばい、坂本さんがあまりにも岡田准一の父親すぎてウッてなる、)の坂本さんによると、トニセンは「大規模なレールに乗るのが苦手な人たち」だそうですが、この、地味に小規模に、しかし着実に自分たちの世界を広げていく感じがたまらなく素敵なんですよ。ああ。これほんと、映像か、あるいは脚本や小説として残しておいてくれないだろうか。えー、サンダンスやトンカツやSYKは脚本放出あったじゃない。もうー、考えたい、いろいろ考えたいのに、端から忘れていってしまうことがツラい!(ハセッチもこんな気持ちだったかな?)
あと、あの三池が扉をばーーーん!!!と開けて、音と光がどーーーーん!!!って支配したあの瞬間、あれはほんと、G2さん最高だなって思った。演劇最高。演劇って、あれを表現できるんだから好き。トニセンがころころと役柄を変えて演じ分けてくれていたのも、あの三人がやると新鮮でした。これができるからねー、演劇大好きなんだよなぁ。
SFなのに青春ものっぽくもあるし、ラブロマンスっぽくもあるし、トニセン頑張って金管楽器吹いてるし、もちろん踊りも歌もあるし、なんなんだよもー、ずるいよー、トニセンいいとこ取りすぎて、こんなの現実化してしまうなんて絶対おかしいよーーー燃えどころしかないよーーーー好きすぎるよーーーー(最終的には言葉にならずただジタバタもがくのみ!)
で、もう本当に単純なキャラ萌えでいくと、
・ベッドで一人称「僕」なイノッチが坂本長野に抱きかかえられる(大丈夫か、つって超心配されている)
だとか、
・白衣の長野くんが小難しい台詞を語り、苦悩する
(教授、人生は悲劇ですか、それとも喜劇ですか。)
・ババア感が半端ない依頼人を演じる女優:長野博
・一瞬だけ出てくる眼鏡教師長野&坂本
だとか、
・イーゼルと油絵の具と坂本さん
・長野くん(由利)の母とチンピラを演じ分ける坂本セカンドバッグ
・かと思えば、完全にミュージカルスターな三池の恋愛パート
・ひろしに有無を言わさず(開ける)担当だから、つって顎で使われている坂本昌行
だとか、
ぎゃーーー助けて!!!
もう、じきどうのHPは0よ!!!!
状態でした。なにあれかわいい……!!!!!
病室のベッドに腰掛けて二人を見上げながらうっれしそうに「来てくれたんだぁ」とかいう一人称・ボクの井ノ原さんとかどう考えてもダメなやつでしょうこれオタクへの殺傷能力が高すぎてこちとら死にかけたんだから!!! まさか2017年にもなってあんなイノッチが見られるだなんて!!!!!
コップだけ買って帰るつもりが、実物見たら可愛くって鏡を買い。
ネタ的にもこんな面白グッズ今後出ないかも、つって付箋を買い。
終演後には感動のあまり、お布施じゃー!!!!ってもう一冊パンフレットを買い。
とにかくエンジョイしまくりました今回の舞台。
OTTもねぇ、すんごく良かったけれど、(自分の中で)オリジナルSFに敵うものはありません!
ちょっとまだまだ語り尽くせない……。
(忘れてしまい不明だった部分につきまして、お読みくださった方から記憶の補完にご協力いただいております。本当にありがとうございます!)
*1:COSMIC RESCUE のトニセンサイド、お待ちしています。