そのうち笑い話になるさ

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仮面ライダービルド最終回に寄せて

こんなにも、最終回が来ないでほしいと思いながら、最終回を待ち遠しく思い続けた特撮ドラマがあったでしょうか。「仮面ライダービルド」は、本日、物語にひとつの区切りをつけました。

ラストバウトで、月を吸うラスボス。ここからどう落とし込むつもりなのかとハラハラしながら見守れば、なんと「新世界創造の犠牲になる覚悟の戦兎、の身代わりに消滅の道を選んだ万丈、を救うため後追いする戦兎、の前に立ちはだかる悪に乗っ取られた万丈、を救おうとする戦兎、を悪の内部から救おうとする万丈、を金銀ボトルで殴って救う戦兎、からのラビットドラゴン、ラストはふたりで1話再現とアバン回収」という、おまえたち、本当に最後までおまえたちは…………みたいな超展開。すごい。ものすごい強引。大好き。それ最近やったやつじゃーん、でも好きだからうれしいありがとう!!!

もうねー、予告あらすじを読んだ時点で、あ、これ、科学とか戦争とか兵器とか宇宙とか、そんなものは、二の次だと。

最後まで「戦兎と万丈のエモさ」のみで突っ走るつもりだぞと。ああもう、きみたちは、最後の最後までぶれなかったなと。なんならそのまんま劇場版なぞってんじゃないかと。いっそ暴力的なまでのエモさの応酬。ずっと横っ腹をエモさで殴り続けられたような1年間。理系ライダーにあるまじく、ほとんどの登場人物が感情の盛り上がりを最優先して行動するあまり、全体通しての筋書きはなんじゃそらぁなんだけど、そんな大雑把なところも含めて大好きです、仮面ライダービルド。

ぶっちゃけ、こんなにハマると思ってなかったんですよ。SF好きの血が騒ぐ物理学と歯車モチーフは心からときめいて「今日という日を、俺はきっと後悔する」と「くしゃっとなるんだよ、俺の顔」は、好みド直球だったけど、それだけで。誰とは言わないが主役コンビの絆を猛烈に押し出す描写が実はあまり得意ではなく、ふーん、今年もそっち系なのねはいはいはい、くらいの感覚で。急変したのがスパークリングとクローズの殴り合いと、直後の「~桐生戦兎だけだろうが!」だったかな。あれ、この人たち全然素直じゃないのにやたら互いが互いを導くわね?みたいなのに気づいて。

そこからがもうダメだった。沼だった。これまでハマった特撮の中でも、段違いの別格でヤバかった。ブレイドにハマったときも相当ぶっ飛んでいた(当社比)けれど、めでたく更新。いろいろと不幸が重なって辛かった時期を、救われた。大人が現行作品にハマってしまうと、こんな風になってしまうのだなぁと薄れゆく意識の中でプレミアムバンダイの購入履歴をぼんやり眺めるのだった。い、いくら私でもそんな毎度毎度食玩とベルトとぬいぐるみとフィギュアーツ買い揃えてるわけじゃない!(必死)

特に戦争編に入って以降は、リフレインに次ぐリフレイン、こんなのなんだか前にも見たことがあるよなあ……のオンパレードでしたが、逆を言えば、これほどまでしつこいくらい、繰り返し繰り返し、1年もの時間(+劇場版)をかけて、互いが互いを思いやるあまり傷つけあって強くなって最終的には行くところまで行ったバディが出てくる実写ドラマは、他に類を見ないのではないか、という気もするのです。まさにベストマッチな奴ら。なんて贅沢なブロマンス。

もう、このふたりは愛情とか恋情とか友情とか、なんだかもう言葉として表現可能な関係を超越していて、同性だとか異性だとか、人間だとか人間じゃないだとか、そんなものは関係なく最高のコンビであり、大切な相棒であり、ベストマッチであり、「奇跡と偶然、太陽と月」「強くなれるよ、愛は負けない」んだよな。1話から毎週欠かさず、リアルタイムに追うことができて本当に良かった。

そういうヤツに巡り逢えて、これからも同じ世界で生きていけることが、創造主たる桐生戦兎にとって、どれほど救いになったことか。万丈のほうは、自分自身が戦兎にとってどれだけの支えになっているか自覚なさそうなのも、もどかしくっていい。わけわからんまま合体させられたり、わけわからんまま新世界に連れてこられたり。

たとえ、最初から、戦兎と万丈が共依存するよう敵が仕組んでいたのだとしても。創られた関係だったとしても。それでも。へし折れた戦兎を「正義のヒーロー、桐生戦兎」としてこの世に繋ぎ止めたのは万丈だし、自暴自棄の万丈を「正義のヒーロー、万丈龍我」としてこの世に繋ぎ止めたのは戦兎なんですよ。そして、最後に残ったのもこのふたり。なんだこのふたり。すごすぎない。要所要所でみーたんや石動惣一や猿渡一海が面倒見てくれる布陣も、完璧だもの。

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そう考えると、人の情につけこんで利用することに長けたブラッド族、本当に厄介で、たちの悪い敵でした。しかし彼らがいなかったら、そもそも「桐生戦兎」という正義のヒーローは誕生しなかったわけで。その辺りの切なさというか、やりきれなさというか、悪の力が形を変えて正義のヒーローになる仮面ライダーイズムは、しっかり受け継がれていたのかも、という気がします。戦争とか、政治とか、この時代にしては攻めたことも交えつつ。

なんなら「戦兎と万丈」を描ききるためのスパイスだったのかもしれないけれど、一海、幻徳、内海、美空、紗羽、巧といった登場人物それぞれの物語もまた、味わい深くて好きなんですよ。特に葛城巧の葛藤と、内海と紗羽さんの難チル関連。エモ優先だから、どいつもこいつも、散るときちょっと良いヤツになっちゃう。あと、美空と紗羽さんが公私共に本当に仲が良さそうで……女子組をこんなにも愛しく思えた特撮は初めてな気がする。あ、シンゴジの尾頭さんは別の意味で目茶苦茶好きだけれど。

ビルドが本当に大好きだったから、できればずっと続いてほしいけれど、常に傷メイクが絶えなくてあまりにもツラい1年だったから、犬飼くんや赤楚くんは、そろそろ肩の荷を降ろさせてあげたいなという気持ちもあります。ビルド勢、みんな売れっこになってほしいし、たぶん売れても、この1年のことちゃんと振り返ってくれそうな気がする。SNSから見えてくるキャストの仲の良さ、雰囲気の良さがとても微笑ましかったなぁ。特に、武田航平の安心感よ……!

キャラブとヒロビ表紙の壁も、ようやく壊れた、良かったなぁ……とまあ、しんみりしつつも、ジオウに出るし、平ジェネもあるし、Vシネクローズや小説版もあるだろうし、プレバン届くのこれからだし、なによりファイナルイベントのチケット買っちゃったので、本当の意味でのバイバイは、もう少し先になりそうです。

それにねー、戦兎も言ってたじゃない。番組が終わっても、俺はずっと桐生戦兎だよって。まるで昭和の硬派な特撮ヒーローのような100点満点の受け答え、さらっとこう答えられる犬飼くんが桐生戦兎で本当によかったなと思いました。オタク心をよく心得ていらっしゃる。おそらくそれを受けて、ずっと万丈龍我だぞ!って言ってくれる赤楚くんマジ万丈。戦兎ひとりだと戦闘力高くなさそうだけど、万丈と一緒ならカンストしそうなビルドが、とてもとても好きだ。

1年間、地球の明日を創り続けてくれて、ありがとうございました!!!

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