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そのうち笑い話になるさ

得意分野は90年代の土曜9時ですが、22年目の話題にもできる限り迫っていく所存です。

仮面ライダー剣 ドラマCD ~切り札の行方~

コメントありがとうございました。綴ることについて深く考えさせられると共に、感謝の気持ちでいっぱいになりました。マイペース更新ですが今後とも、何卒よろしくお願いします。


V6とは少しばかり逸れた話をします。無関係ではないけど。


ドラマCD「仮面ライダー剣」

ドラマCD「仮面ライダー剣」

平成ライダーで、いや特撮の中で最も好きな作品である「仮面ライダー剣」が、当時のキャストを集めて10年後の新作を発表しました。特典欲しさに先行販売で購入したこれが、たそがれ版、ディケイド版、小説版それぞれ比較した中では、限りなく自分の理想に近い形になっています。予想だにしなかった快作です。ブレイド未見の方には「なんのこっちゃ」な話になると思いますが、どうかお付き合い願いたい。あ、ネタバレがあるのでできれば本編とも視聴後に。睦月ってオカダイズム持ってるよね!な持論にも触れます。


小説 仮面ライダーブレイド (講談社キャラクター文庫)

小説 仮面ライダーブレイド (講談社キャラクター文庫)

まさかの300年後の異世界を舞台とし、色々弾けまくってぶっ飛んでた小説版ですら個人的にはその後の二人の描写に納得(始さんから剣崎への呼びかけと、最後の数ページだけでご飯が食える)していましたが、満足度はCD版が軽く上回りました。どうしても剣崎と始ばかりに注目してしまいますが、小説版では不憫なんてもんじゃなかった(まあ別人でしたけど)橘さんと睦月師弟が、ここにきてようやく救われた感じがします。

そしてBLには何の感情も抱いていない身(そういや2年くらい前に始の中の人が剣崎の中の人に女装で色仕掛けしてる舞台を観て、びっくりしたっけな)であえて言うのだが、剣崎と始がやけに遠距離恋愛くさいのは、あの感動の最終話の仕様上、仕方ないことだと思う。あのラストを壊さぬよう、ハッピーエンドに限りなく近い後日談を書けば、どうしたってこうなるし、こうであって欲しい。素敵な関係です。互いをずっと想い合う、永遠に逢えない、永遠に生き続ける無二の友の二人。だから、設定に無理のない範囲で二人の会話があるのは、本当にうれしかった。

内容は、本編の総集編(回想)と変身しない後日談です。

仮面ライダーは販促の都合上、変身もせず争わない作品自体が珍しく、ドラマCDという媒体の都合もあったのかもしれないけれど、この体裁にしただけでもスタッフの心意気が感じられてグッときます。すなわち、最終話以降、剣崎一真が守った世界で、ブレイドライダーは平和であり続けなければならない。そうでなければ剣崎がアンデッドになった意味がない。

平和が続いている10年後の喫茶ハカランダ。始さんは大学生の天音ちゃんを、人気作家こと牛乳王子となった虎太郎に任せ、側を離れる覚悟ができているものの「剣崎がいつか戻ってくるのではないか」という期待から、ハカランダを離れられずにいます。ちょっと不思議なのが「虎太郎は仮面ライダーの真実をどこまで詳細に書いたのか?」ということですが、とりあえず後に回しましょう。*1

始の回想(脳内)で始と剣崎がやり取りすんのがあまりにも恥ずかしうれしい。剣崎は始の外見をイケメンだと思ってたことが判明。お粥の件(本編14話)をまだ引きずってる始さんが乙女。というか、回想内の剣崎と普通にやり取りをはじめて現実世界が疎かになる始さん、うっすら危ない人です。

満を持して、剣崎登場です。明るいです。想像の10倍くらい明るかったです。やっぱ橘さんは一流だよな、って言いながら橘さんを追っかけてたとき(本編1話)ぐらいの明るさです。別に退化したわけではなく、元々の剣崎の性格はこうなのかも。わりとバカが定説になりつつあり(文武両道説は死に?)始や橘さんから人懐こいでっかい犬っころと評価される剣崎。各々の記憶の中で相当美化されてんじゃないか?笑

剣崎は普通の修理工に調子の悪くなったブルスペちゃんを託したので、バイクの原子力は死に設定に。元々、レッドランバスとかグリンクローバーはガソリン入れてたからね、仕方がないね。ひょっとしたら姿の変わるシャドーチェイサーは原子力かもわからないけど。というか、剣崎が本気出してジョーカーの姿になったら、ブルースペーダーも姿を変えるのだろうか。

睦月登場。普通のサラリーマンになろうとも、カテゴリーAや嶋さんのチカラを、まだ少し身体が覚えている*2という燃え設定。まさかのコインロッカーベイビーは生き設定になりました。本編では子供に配慮して堂々とやれなかった話を、ここで決着させるのは実に小気味良い。睦月の言い回しが本当に自然で、ああやっぱり北条くんて芝居上手いんだな、と再確認させられます。

剣崎一真を拗らせて目茶苦茶わかりやすいアナグラムを芸名に使う始さん。あのくらいわかりやすければ、剣崎だって気づくだろうと思ったんだろうし、剣崎もちゃんと気づいて手に取って、それからずっとボロボロになるまで持ち歩いてる。写真というアイテムが、本編同様、重要な役割を果たしているのは上手くまとめたなと思いました。

姿の変わらない始に向かって「おまえ化粧しろ化粧!」って言うのがいかにも剣崎くさい。本編を見てると思わずニヤリとさせられる台詞が所々散りばめられていて、それを見つけるのも楽しい。なかでも「心配してくれるのか?」は、当時そのままで素晴らしい剣崎でしたね。ちゃんと確認しないと、相手が心配してくれているって感じられないんだろうな。この辺り、よっぽど剣好きな人が書いたんだろうな!二次創作くさい?上等です!

「寂しくないか?、意地っ張りめ」始から剣崎に言ってもらいたかった台詞が、これでもかと放たれますが“おそらく一番伝えたかったのだろう言葉”は剣崎の耳に届きませんでした。この10年間の想いを剣崎にぶつけ「なぜなら、俺は、おまえに……」この後、始は何を言おうとしたのか。“あなたなら、何を望みますか?”はヒューマンアンデッドですが、私だったらやっぱり、感謝の言葉だろうか。なにげに今回まだ言ってないもんね、ありがとう、って。でもお粥の時に言ってるから、別の言葉でもいいな。

感情を自覚することは、愛情を知ることは、弱さになるのか、強さなのか。最後の始と剣崎のやり取りは、いかにもヒーロー番組のテーマにふさわしい。いいな~、くぅ~っ!

あっ、もう再生時間が終ってしまう、まだダメだ終わらないで、だって剣崎と始は逢えていないどころか、言葉すら交わせていない、待って、待って、あともうちょっと……!みたいにハラハラしながらCDを聴くなんて初めてのことでした。それくらい、悲しくて切なくて、親友に逢えないってそれだけ大きな決断を、あのときの剣崎は選んでしまったのだなと心に響きます。容易に逢わせる結末にならなくて本当に良かった。後味の悪さも私にとっては大満足でした。こっから反省点。

声優の芝居と役者の芝居とでは、やはり2次元と3次元との間に見えないオリハルコンエレメントがあって、特に睦月の後輩のアニメっぽさが気になり(おやっさんのほうは大変良かったと思う、)ギャップに気を取られてしまうぶん、見聞きし慣れたメンバー同士の会話は自然でにやにやが止まらなかった。

しかしだ、おやっさん、途中で「答えは聞いてないけど」って言ったのが本当にイヤで腹が立って残念で仕方ない。鈴村氏に罪は無いし、むしろ同じブレイドファンとして応援しているのだが、こっそり電王ねじ込みだけは、本当に、本当にやめてほしかった。マジ電王許すまじ。ディケイドなんか目じゃないくらいにたちが悪い。自作の特別篇乱発なら問題ないけど、他のライダー作品侵食して世界観ぶち壊すのは。

劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王 ディレクターズカット版 [DVD]

劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王 ディレクターズカット版 [DVD]

これ大好きだった劇場版キバでもやられて相当落ち込んだトラウマがあるので、余計にそう思うんですけど。売れたら何やってもいいのか。そんな横暴な。


そんなこんなで、剣メンバー所感。

・誰より強くて優しくて残酷な剣崎
これぞ剣崎である。この舌っ足らずで冷や冷やするところが剣崎の剣崎たる魅力で、例え日本語が流暢でもそれはこんな魅力的な剣崎にはならなかったと思う。それほど剣崎だった。会えなくなっても電話やメールがあるじゃない、と常々思ってたけど、どれかに手を出せば絶対に会いたくなってしまうから、我慢していたんだね。今でも明るく前向きに人助けでもしながら生きていてくれてるのかと思うと、じんわり心に染みます。DCD版剣崎のようにやさぐれなかったのは、やはり剣崎の(心の)強さの証であり、理想で憧れのヒーローです。この調子なら、300年後も小説版みたいにはならないんじゃないかな。残された者のことはあんまり考えていなくて、優しくて残酷だという始さん評がまさにぴったり。これから100年後、300年後、1000年後はまだどうなるかわからないけれど、全ての種族が滅んで世界にふたりぼっちになったら、ようやく剣崎の背負い込んだ罪は、許されるのかもしれないな。

・橘さん
落ち着いて、ちょっとおっさん(所長*3)になった橘さんは、それでも剣崎たちの写真をいつも側に置いていたりして、桐生さんの最後の言葉もしっかり胸に抱えながら、橘さんでいてくれてました。劇場版のようなクールさではなく、慈愛に満ちてる感じがします。めちゃイケや行列時の天野くんが本当にただのバカ(失礼)だったため実は若干の心配もあったのですが、杞憂でした。やっぱり橘さんはブレイドにおいては知的で、頼れる格好いい先輩です。始と剣崎を二人きりにするため気を遣ったり、急なハイテンションの「ウマイ!」も、一流です。味覚のストライクゾーンが広いだけ!

・余計な言葉と感情を覚えた始さん
やっぱり今回も主人公。というか、やっぱりヒロイン。ロリコンから、父性に変わってたのがすごく良かった。栗原氏を思い出すのも好感触。感情を得て、気遣いができて、語彙が増えて、揶揄も言えるようになって、より人間に近づいて……というテーマが自分、本当に大好きなんですよ。ベタなんだけど、本当に素敵な心の揺れだと思う。ハートのライダーだけに心理描写がとても丁寧で、泣かせてもらいました。剣崎一真→真崎剣一には笑っちゃったけど。あと、すぐ屋久島とか、崖とか、ドンドコ山とか、剣崎の影を追いすぎ!剣崎好きすぎ!お粥に触れてくれるとは思っていなくて、どきどきしちゃいました。あのシーンはブレイド前半屈指の名シーンだと勝手に思っています。夢の中では剣崎を想うがあまり、俺を封印しろと言うけれど、始を封印したところで剣崎からローチが出てくるのは予想できて、結局、今の二人はどちらも欠けることのできない、運命共同体なんだよなあ。

・睦月のオカダイズム
10年で一番変化のあった睦月は、それ故に今回のCDの、もう一人の主人公だったと思います。後輩のミスもカバーし女の子が車に引かれそうになるのもさらっと救う、会社では頼れる(ちょっと不思議な、というか変な?)先輩なのが、チームブレイドに戻ってくると途端に拗ねたり口調が幼くなって弟感溢れ出すじゃないですか。常々すごくオカダっぽいと思って聴いていたんですが、始さんのニンジンハート入りピラフを「これ、剣崎さんにも食べさせてやりたいな」って言ったところでオカダ値MAX(中の人的な意味でも、8歳上の天野くんとタメ語で話す北条くんがすごく仲良さそう)だった。見た目年齢が剣崎を追い抜いたってところも相当切ない。風の声とか、コインロッカーとか、厨2時代を笑い飛ばせるようにもなれて、実は最も設定補完があって救われたムッキー。あい変わらずオロナミンCを奢ろうとしてるのがすごく睦月でした。初任給で橘さんに何も贈らなかったのを悔やんでるのもすごく睦月でした。始さんの態度の変化にむせてみたり*4最後の最後でひとりだけすっとぼけてみたり、黒睦月とは何だったのかってほど可愛いぞ睦月。根っこは変わらないですね。


仮面ライダー剣(ブレイド)ソングコレクション(CCCD)

仮面ライダー剣(ブレイド)ソングコレクション(CCCD)

ところでドラマCDって買うの初めてなんだけど、前奏もなく唐突に始まって、エンディングもなく唐突に終わったのが意外でした。なので自分でプレイリスト組んで、OPに相川七瀬(剣崎の様子からしてこちらのOPのが似合う!)EDに「someday somewhere」を入れるとテンション高いまま余韻を残せて胸に迫る。この曲はなんで当時流さなかったのだろう?と不思議な名曲だったのだけど、なるほど、このCDのエンディングにするためだったのだね!ってなくらいハマっていた。泣けます。

後から考えうる限り、最もベストな後日談だったのではないかなと思う。10年後の現在の状況は何も変わっていない(始さんの耳に剣崎が息を飲む音だけが届いたのは、進歩というべきか?)かもしれないけど、人間が滅んだ後、いつか逢えるかもわからないし。

誰が書いたとしても(大部分のブレイドファンを納得させる)展開は、だいたいああなるよなあってしみじみ思った。アンデッドの涙は、やっぱり見たいんですよ。本当にベタな描写だけど、本編で泣いたアンデッドは居なかったし、それだけでも始さんは特例中の特例で、人間として成長したのだな、と。橘さん始さん睦月の3名が意外と打ち解けまくってたのがうれしかった。とても10年前に命の取り合いしていた者同士とは思えませんでした。役者陣が本当に無駄に仲が良すぎるのも影響したのかな。モノリスさえぶち壊したら、チームブレイドで四人旅とか、いいかもしれないっすね。バイクじゃなくてジープで街から街へ賑やかに移動する四人旅、是非見てみたい気もします。


特典座談会は、オンドゥルだから台本付けたほうがいいんじゃね?みたいにご本人たちが話していて、だ、大丈夫だよ心配しなくとも聞き取れたよ(震え声)と思ったけれど、台本はそれはそれとして読みたいです。剣崎がぎこちなかったのって、きっとオンドゥらないように気をつけに気をつけた結果なのだろうなあ。戦闘シーンのアフレコは本当に上手いのに剣崎。サブタイトル談義は、どう考えても鈴村&橘さんの意見に1票。どう考えたって「切り札の行方」が一番合ってますよ!


シビアな話、どんなに芝居が上手くても、特撮ヒーローを演じた役者が10年後も俳優業を続けることは、実は大変難しいことなのだろうと思います。事実、北条くん行方不明になったし(それを椿さんが探したってのがまた泣ける、)ブレイドライダーたちが誰も自暴自棄にならず、悪い噂も立たず、こうして10年後も変わらぬ剣を演じてくださることは、限りなく奇跡に近いに違いありません。バトライドウォーをはじめとするゲーム類や、ゲスト出演はこれまでもちょいちょいあったけど、四人共演は本当にありがたくうれしい。作品自体もさるものながら、役者やスタッフにとても愛されているのが伝わってくるところが、仮面ライダー剣の最大の魅力だと思います。あ、その愛される一端をオンドゥル語が担ってたのは言うまでもない。ケンジャキもダディもムッコロもムッキーも大好きです。素敵な特撮作品に出逢えて幸せでした。


ちょっと手放そうかとも思ってたラウズカードアーカイブスも浮かばれたぜ……。笑

春映画の四人共演(橘さんの変身)と、夏のBlu-ray BOX発売が今から大変楽しみです。

*1:『虎太郎は真実をどこまで詳細に書いたのか』睦月の後輩や、大学生天音ちゃんは無知すぎる?、万が一、二人とも虎太郎の著書を読んでいないとして、仮にも人気ライターでCM出るほど世に知られている虎太郎の書籍を、各メディアが取り上げないはずもなく、ブレイドギャレン・カリス・レンゲルは一般に認知されていると考えるのが自然です。その状況でも始がハカランダに居て、尚且つ天音ちゃんの元から離れようとしているわけだから、天音ちゃんはカリスの正体を知らないか、知ってるけど始に側に居て欲しくて知らないふりをしているか、知ってて全てを受け入れて始と生きていくつもりか、どれかだろうと思います。また睦月の後輩は、睦月=レンゲルだったことを知らない様子です。剣崎一真、橘朔也、相川始、上条睦月の名は伏せて書いたと考えるべきか。そうすると橘さんのところの研究員がライダーの正体を全て知ってたのは不思議だけど、橘さんのことだから社内研修で各ライダーシステムの説明くらいしたのかもしれないですね。

*2:『BLっぽさを手伝う女性陣の扱いの不憫さ』名前が出た人(実は望美ちゃんと睦月が既に夫婦だったらどうしよう)はまだいいとして、小夜子や虎姐さんぐらい思い出してあげてもいいのよ。なんとなく、橘さんや睦月の回想の中で、小夜子<桐生さんで、望美ちゃんと虎姐<嶋さん<<<<<橘さんなのは、うれしむべきか悲しむべきか。広瀬さん元気かな。海外で、幸せになっててほしいものです。個人的には羽美ちゃん未知ちゃんゲストヒロインのその後も気になる。きっと父親になっているに違いないたこ焼き屋も、元気だろうか。

*3:『眠そうな橘さんは何の研究をしているのか』もちろんこの10年後の世界にも人を襲う未確認生命体は存在が確認され(その生命体の研究を橘さんは続け)ているようですが、それがロイミュードなのかインベスなのかファントムなのかグリードなのかドーパントなのか大ショッカーなのかファンガイアなのかイマジンなのかワームなのかマカモウなのかわかりませんが、それはその地域の担当ライダーが頑張って殲滅してくれるのでギャレンが出動せずとも大丈夫なのです。たぶん。

*4:『睦月は相川始にどのような先入観を持っていたか』不変の存在/だが私は謝らない(人間を気遣いなどしない)/ハートのニンジンは入れない/そもそもアンデッドなので料理しない(できない?)←そういえば睦月は始のたこ焼きを食べていない。細かいところだけど、意外に整合性が取れています。始さんと睦月の絡みって、謎エレベーターと、ハカランダの前で今を楽しめというやり取りをしたくらいか。剣崎失踪直後は始に掴みかかった睦月も、その後しばらく(きっと大学進学までの間を)始と過ごすうち、剣崎を失った始の苦しみを理解したのでしょう。